経済的徴兵制

かつて日本は、一億総中流社会といわれ貧富の格差が小さい社会であった。ところが今は、子供の3割が貧困になってしまった。

何がそうさせたのか、原因は何なのか。一言でいえば、それは「所得再分配」の構造である。国が税金を誰からどれだけ取って、人々にどのように分配するかの仕組みである。

昭和の末までは、富裕層に最高で7割8割の所得税・住民税が課されていたのが、近年は5割である。法人税は昭和の末までは5割であったが、近年は3割である。その減少分の穴埋めとして消費税が導入された。消費税は、富裕層には負担が軽く貧困層には負担が重い逆進税である。消費税のアップが課税の逆進性をさらに高めていく。そして分配では、教育や福祉関係への支出を削減し人々を困窮させている。これが貧困の原因である。大企業優遇の政策から、一般市民の生活を優遇する政策に所得再分配を転換しない限り貧困の問題は何ら解決には向かわない。

ところで、アメリカでは徴兵制が廃止されてあと、兵隊を集める手段として使われているのが経済的徴兵制である。軍隊のリクルート担当者が、生活に余裕がなく学業を継続できない貧困家庭の高校卒業予定者や若者をターゲットに、軍隊に入れば給料をもらいながら大学を卒業できていろんな資格も取ることができる、と説明して入隊の勧誘をし兵士の人員を確保していく。これが、経済的徴兵制である。アメリカは経済的徴兵制を維持していくためにも、貧富の格差は解決されるべきものではなく維持されなければならないものとなっている。

戦争法案(安保法案)が可決されてあと、自衛隊への応募者が急激に減少している。アメリカで行われている経済的徴兵制は日本でも使われるであろう。そして、アメリカと同様の理由で貧富の格差は解決されるべきものとしてではなく維持されるべきものとして、いやさらに拡大されるべきものとして取り扱われていく。最近の政府の政策や今後の計画と方向性がそのことを示している。

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