体験記その1

壁の日めくりカレンダーを、6枚まとめて剥ぐ。久しぶりに自分の部屋のパソコンの前に座る。それにしても、税関では厳しく調べられたものだ。

「フィリピンには、一人で行かれてたんですか」

「はい」

「一人で行かれて一週間観光されたんですか」

「はい」

「よくフィリピンには行かれるんですか」

「いいえ、20年ぐらい前に行ったことはありますが」

「旅券も最近取ったばかりで何か変ですね、カバンの中を見せて下さい」

「はい」

「マンゴーのお菓子のお土産がたくさんありますね、それに衣類、これらの奥も調べさせてください」

税関職員がマンゴーの大量のお菓子を外に取り除き、カバンの隅の隅まで調べていく。表の堅いプラスチックと裏地の内側まで手で点検している。麻薬や拳銃の密輸をたぶん疑っているのだろう。

「何の問題もないので、結構です」

「はい」
<工夫してぎゅうぎゅうに詰めてあったマンゴーのお菓子や雑多な所持品を、これだけバラバラにされたら入れ直すのが大変だろうが・・・>

オンライン英会話のフィリピンの先生に会いに行って、一週間の間ずっと案内してもらっていたんです、と言えばここまで疑われることはなかったかもしれない。しかし、あまり気分のよいものではない。

終わっても通関の横を立ち去らず、しばらくの間、後の旅客を見ていると、あっさりと通しているではないか。

これから数回は、フィリピンの体験記をつづる事にする。

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