ネットで注文した鎌が、会社に届く。
「これが、左利き用の鎌なんだよ」
「どこが、ちがうんですか」
「右手で持ってみて、怖いでしょう」
「おお、怖いですね」
「ところで、塾長、ここに草があるんですが刈ってもらえますか」
「ああ、いいよ」
喜んで、草の生えている場所に行く。オフィスの前の歩道のコンクリートの端に、草が所どころに生えている。鎌が使えるのが嬉しくて、浮き浮きしながら草を刈る。
「塾長、刈った草はこれに入れたらいいですよ」
職員が、ビニール袋を草を刈っている横に置く。
草を刈り終わってあと、付属の刃のカバーを鎌に丁寧につける。もっと、草を刈るところはないかな。草を刈りたい。そうだ、家の前のコンクリート塀の横にススキが生えていた。あれを、刈ろう。
コンクリート塀のススキも刈り終わり、道具を使う楽しさを味わう。
道具は何も買って手に入れるものとは限らない。勉強をして、練習をして自分の身につける道具もある。お金ですぐに手に入る道具と違い、やり遂げる意志と継続する努力によって身につけられる道具である。道具を身につけよう。道具は世間で言う資格かもしれない、学問かもしれない、趣味かもしれない、スポーツかもしれない。道具を身につける楽しさ、道具を使う楽しさを味わうことができれば、日々の生活がもっと生き生きと充実したものになる。
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