消費税

「この契約書に、署名と押印をお願いします」

「3枚重ねのようなので、左手で書きますね」

「どうしたんですか?」

「右手は怪我で力が入らないんです」

「私が代わりに書きましょうか?」

「契約書なので、やはり自分で書きますね」

コピー機の新たなリース契約書に、左手でゆっくりと書き込んでいく。契約書の小さい枠に慣れない左手で書くのは結構大変である。所々でミミズがはったようになっているが、これでも大丈夫らしい。10月には消費税が10%に上がるので、9月中に契約書を交わしたほうがよいのだという。増税前の駆け込み需要なのだろう。

このような光景が津々浦々で見られたなら、この時期の日本経済は活況を呈しているはずである。ところが、今回の増税では駆け込み需要が全然ないのだという。いったいどうなっているのか。

好景気を作り出す最良の手段は、人々が恐怖心を捨て去ることである。先の心配をしないので物をどんどん買ってくれる。物が売れると企業は儲かるので賃金が上がる。賃金が上がると、さらに物が売れるようになる。

駆け込み需要がないのは、ほとんど国民に漂う止めがたい不安感である。

今、日本経済は停滞し世界経済も明らかな後退局面に入っている。例を見ない世界恐慌を予想する経済評論家もいる。このタイミングでの増税は絶対に有り得ないことである。日本のリーダーは狂ってしまった。

政府の舵取る狂った経済政策は、日本と日本国民をいったいどこに連れていくのか。

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