迷い猫

小さな猫が家に迷い込んできた。足元がまだおぼつかない。手で触れようとすると「ハー!」と息を吐いて威嚇する。人間というものに慣れていないようだ。

猫部屋のガラス戸を開け中に入ろうとすると一目散に逃げていく。色々なガラクタが押し込まれている倉庫が彼の住家だ。日当たりと風通しはよい。ガラクタの間を動き回るのが十分に冒険になっている。隠れるとなかなか見つからない。雑然としているのが猫には都合がよいのだろう。

食べ物は猫用の缶詰。柔らかい魚の肉だ。食べている間、手で背中をさすってあげる。食べ物と人の手の条件付け。喜びや安心の対象と人間の条件付け。

人の気配がするとどこからともなく現れる、すっ飛んでくる。現れたら一口の餌をあげる、遊んであげる。もう家族の一員なのかもしれない。

猫の人間への恐れを取り除くために条件付けの原理を使う。生徒の勉強への拒否反応を取り除くためにもやはり条件付けの原理を使うことができる。

少しでもよい所があればホメテあげる。少しでもできたらホメテあげる。気分がよくなってもっと勉強したくなる。条件付けの有効な利用法だ。逆に「お前はバカだ」と言われ続けたらどうだろう。勉強しようなどとは思わない。それは負の条件付けで生徒のやる気を失わせるという逆の効果を発揮してします。

生徒を勉強好きにするのも勉強嫌いにするのも、親しだい先生しだい。適切な条件付けを与えていたら生徒はもっと生き生きと物事に取り組んでいくだろう。生徒を取り巻く大人たちに注意と配慮が求められるところである。

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