事件

「りーん、りーん・・」

朝早く、携帯電話が鳴る。電話に出ると。

 

「伊波さんですか。平和○○○の△△です。お話のあった例の件は、あれは犯罪です。うちの弁護団が事件として警察に訴えたいと話しているのですが、よろしいでしょうか。」

「はい、お願いします。何もしないでいると事件がうずもれてしまうので、いいんじゃないでしょうか。」

 

事件とは、平成26年12月14日の衆議院選の投票日とその翌日のことである。

選挙日当日に、私はいつものように沖縄市立安慶田小学校に車で向かった。当時、小学校の建物が工事中で、車が止められる駐車場は表門から入った一箇所しかない。その表門に行くと門の前に駐車場使用禁止の立て札が立っていて、スポーツ大会を開催中のため駐車場は使用できないと但し書きがある。あとの説明はない。何ともそっけない。門内を覗くと他の車で一杯である。

周辺は狭い路地ばかりなので、その小学校からかなり離れた少し道路が広めの場所を見つけて違法駐車をして、走ってその小学校に向かった。

小学校の構内に入ってみると、いつもの投票所である体育館では小学生がバスケットボールの試合をしている。体育館の入り口に張り紙がある。今日の投票所は隣の建物ようである。

こんなに苦労をしないと、投票もできないのか。車では来れない旨の事前の連絡もなかったので、苛立ちが少しずつつのっていく。

隣の建物の投票所に入ると、平然と投票の業務が行われている。投票する人はまばらだ。近くの係員に、この投票会場の責任者を呼んでほしいと頼む。出てきたのは30代後半ぐらいの男性。投票所の外まで出てもらって話をする。

「なぜ、スポーツ大会が行われているのか。」

「なぜ、止められる駐車場がないのか。」

「車で投票に来た人はどうすればよいのか。」

「スポーツ大会は延期できなかったのか。」

「なぜ、車が止められない旨の事前の連絡がないのか。」

話をしているうちに、自分の内側から激してくるのを感じる。溜め込んでいたものが吹き出してくる。

「あなた方は、わざとやっているんでしょう。投票しづらくしてわざと投票率を下げようとしているんじゃないのか。投票率をさげれば投票の改ざんもしやすいではないか。」

「ところで、なぜ今、あなたはここにいるのか。わたしは、あなたがたを選んだ覚えはない。選挙の業務をするあなた方が選ばれた手順は何なのか。何を基準にあなた方が選ばれたのか。あなた方を選んだのはだれなのか。」

担当の責任者はしどろもどろにしか返答できない。

話は、選挙の投開票を一手に扱う「ムサシ」に及んでいく。だんだんと奇怪な様相を呈していく選挙の方法や手順、不可思議な選挙結果など、つもっていた疑問をぶつけていく。

話している相手は一介の投票所の責任者でしかない。ただ、おろおろするばかりである。

 

その翌日

私の自宅の前に、2匹の死んだ猫がいた。

 

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