和歌山カレー事件・冤罪(その1)

以下は、和歌山カレー事件 林眞須美死刑囚・長男著の「もう逃げない。」からの引用である。

 

【長男・浩次(仮名)は当時小学5年である】
   逮捕の朝


 ぼくは朝寝坊だった。でも、あの日だけはもう少し早く起きればよかったと、いまも後悔している。
 1998年10月4日、日曜日。
 裕美(林家次女・当時中学2年)の「コウ!コウ!」という声で目を覚ますと、全然知らない女の人が、ぼくを見下ろしていた。その隣に、いまにも泣き出しそうな顔をした裕美が立っている。女の人はムスッとした顔で「起きなさい」と言うと、ぼくの布団をはぎ取った。
 半分寝ぼけながら上体を起こしたとき、廊下から恵美(林家長女・当時中学3年)の怒鳴り声が聞こえた。
 「人ん家に土足で上がるな!」
 この声で一気にねむけが吹き飛び、慌てて部屋から出ると、廊下にもほかの部屋にも、制服を着た警察官が大勢いた。


長男は、和歌山カレー事件を冤罪だとは言わない。母親を無実だと断言すると、あの事件で亡くなった4人の方のご遺族の気持ちを傷つけることになるからという。死刑囚の息子として過酷な生活を送ってきたはずだが、言動から受ける印象は細かい気遣いのできる好青年である。和歌山カレー事件の冤罪を多くの人が知ることが、林眞須美さんの命を救うことになる。

次の動画で、林眞須美さんの長男が同事件について語っている。
https://www.youtube.com/watch?v=cDVfP7iN4Sc&list=WL&index=2&t=14s

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