和歌山カレー事件・恵庭殺人事件

和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚の長男が書いた本を注文した。夏祭りのカレーに毒物が入れられ4人が死亡した事件である。表紙に「もう逃げない 今まで黙っていた家族のこと」とある。長男はユーチューブの動画でも取材を受けていて、まだ10歳だった事件当時から今までの体験を語っている。犯人と家族を切り離して考える風土がない日本では、殺人者の家族は世間からつまはじきにされ過酷な生活を強いられる。ましてや、その事件が冤罪であったら、死刑囚とその家族の境遇はなおさら悲惨なものになる。

林眞須美死刑囚の家族は今年6月9日に同事件の第二次再審請求をしているが、その同じ日に眞須美死刑囚の長女とその娘二人の3人が死亡している。長女は林家の子供たちのまとめ役であった。長女親子は3人とも自殺であると警察は処理しているが、そんな簡単に自殺扱いにしてよいのか。

それから、今年の4月には北海道恵庭OL殺人事件の第二次再審請求が最高裁判所で棄却された。ひ弱で小柄な女性(大越美奈子さん)が一回り大きな女性を車内で絞殺して外で燃やしたといわれる事件である。一審・控訴審・上告審を担当した伊東秀子弁護士の著書「恵庭OL殺人事件 こうして犯人は作られた」を読むと、司法が証拠を捏造して犯人を作り上げるやり方に愕然とさせられる。再審は当然認められるものと思っていたのだが、それがかなわず大越さんは殺人犯のレッテルを剝がすことができない。16年間の刑期だけでも大変だったのに、過酷な日々がまだ続く。

このような国家権力の有り様を見るにつけ、国家は国民を守ってくれるという思い込みは、棚上げするべきものだと気づかされる。新型コロナへの政府の対応も同様である。国家は国民を守らない。国民は自ら正しい情報を集めて、自らコロナウイルスへの対処法を見つけて安全を確保しなければならない。菅首相は「自助」が大切だと言っているが、その通りである。決して政府を当てにしてはいけない。

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