独我論

この世に存在するのは自分だけである。世界は自分に属する。山も海も空も自分に属する。あなたも彼も彼女も自分に属する。

この世のものはすべて自分のものである。自分と離れては存在しない。だからいつかあるとき、自分が死んだとき、この世の中も消滅する。これが独我論(どくがろん)である。

この理屈はおかしいとだれもが思うのだが、だれもこの理屈を否定できない。なぜなら、だれも死んだことがないから論証で否定できないのである。

ところで、猫は自分の飼主を自分に属するものだと感じている。自分のほうが主人で、人間は猫である自分に属しているだけである。猫の表情がそう言う。人間は猫に属する。

たとえ猫がそう感じているにしても、そう思っている猫も含め、やはりすべては自分に属する。あなたやあなたの思いも自分に属する。

独我論は究極のエゴイズム。世界を論理や理屈だけでとらえると、なんとも自分勝手な世界が現れる。殺伐とした世界。

求められるのはシンパシー、共感である。共感があれば世界が広がる。他者の「よろこび」や「つらさ」の分、世界が広がる。自分だけの世界よりずっといい。

ところで、沖縄防衛局長が「犯す前に犯すとはいわない」などと発言したという。まさに共感の欠落。更迭は当然である。組織の長は共感を忘れてはならない。

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