猫の交通事故

車を走らせていたら猫が死んでいるのを見かけた。車が走る道路上である。ひかれたのだろうか血がでている。タイヤで踏まないように、よけてその場を通り過ぎた。

約10分後にはこの道を引き返してまた通るのだが、そのときはどうなっているのだろうかと想像する。不注意な車に何度もひかれるのか、それとも誰かが片付けてくれるのか。

約10分後に引き返すと、母親らしい女性と小学生らしい男の子が猫を道端に移していた。母親が素手の両手でつかんで猫を横たえていた。母親の横に寄り添って小学生の男の子が身をかがめてそれを見ていた。この母親と行動をともにした男の子にはきっと優しい気持ちが育まれていくのだろうと思いをめぐらせていた。

親子の行為に心動かされる嬉しさと、自分の内側に感じる後ろめたさ。しばらくの間、自分という人間について考えていた。優しさとは何かについて考えていた。

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