鋭利と鈍重

資源ゴミに出そうと新聞紙の束をひもで縛っていて、ハサミでひもを切ろうとしたら、指先の肉を切ってしまった。バサッとよく切れたものである。表皮というより真皮の肉が取れていて、血が止まらない。

意味不明な行動とはこのことだろう。止血はあとにして、指先から取れた小さな肉片を探している。ハサミについていないか、床に落ちていないかと探す。何にも使えないのに。

それにしても、最近のハサミは切れすぎる。ハサミで肉片が取れるなど、想像もつかない。指でハサミの刃に触れると、まるで刃物の刃である。これでは肉も切り取れると納得する。

切れ過ぎる刃物は便利ではあるが、その分危険でもある。ときに、人の体を傷つける。

他では、どうだろう。

回転の速い切れる教師は重宝されるが、その分危なっかしい。生徒との理解のズレが、ときに生徒の心を傷つける。

回転の速い「鋭利」と慎重な「鈍重」。

「鈍重」な指導のほうが効果的な場合が往々にしてある。「鈍重」でよいではないか。「鈍重」でいこう。ハサミで指を切ってそう思う。

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