主義

「○○さん、寒くなったねー」
「そうですねー」
「これはね、私の母が着ていた服なんだけど○○さんに上げるよ。母は5年前に亡くなったもんだから」
「そうですか。ありがとうございます」
「裏側のここに母の名前が書いてあるんだけど、これは切り取ったらいいから」
「いえ、そのままでいいです」
「夜は寒くないね～？」
「今はそんなに寒くないですけど、これからが・・・・・」
「そうだよねー、何か困っていたら言ってねー。体に気をつけて」

83歳の一人暮らしの女性、去年から水道・ガスが止められているのだという。ここ数日、表で見かけないので自宅を訪問してみた。元気そうである。生活保護の申請を薦めているのだが、役所の保護を受けるのは嫌なのだと言う。かといって、たまたま出会う人の好意や援助は受け取ってくれる。それが主義なのだろう。

通りすがりで知り合った高齢女性、関わりを続けていく。