人を動かすとは、人の自由意志と行動への介入であり、人の自由意志への越権行為である。越権行為なのだから、人を動かすにはそれだけの覚悟が必要である。
人は、自らの自由意志により自己の自由意志を他者に委ねることがある。共通の目的を持つ組織は、目標達成のために組織の構成員に自由意志の委任を求める。自由意志の委任を求めるのだから、その目的は倫理的にも社会的にも正当なものでなければならない。
塾の先生は生徒の学力・成績向上という目標達成のために、ときには生徒に自由意志の委任を求める。生徒は自由意志の判断を塾に委ねるので、実際の勉強だけに意識を集中することができる。
たとえ生徒が自らの意志で自由意志を塾に委ねているとはいえ、人の自由意志へ介入していることに変わりはない。それだけの覚悟を持って生徒を動かしているのか、先生方は常に自問しなければならない。その自問と反省が、塾の授業をより効果的で充実したものにしていく。
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