5月11日
母の日の思い出
遠い昔、まだ学生のころ、母の日にカーネーションの花を母にプレゼントした。花は近くの大型ショッピングセンターの花屋で奇麗なのを見つけて買った。
母に上げると、なぜだか母は思わず笑っている。
「あのね、勝也。白いカーネーションは、お母さんが亡くなった人が買うものなんだよ。亡くなった母に捧げるのが白いカーネーションなんだよ」
「えっ、そうなんだ」
「だけど、ありがとうね」
と言い、母は喜んで見当違いの花を受け取ってくれた。
10年ほど前に他界した母との思い出である。私の遠い記憶にかすかに留まっていた出来事。いつの日か、私の存在と共に消えていくたわいもない出来事。思い出して上げること、残して上げることが今もできる小さな親孝行。
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