塞翁が馬(さいおうがうま)

「先生、学校の成績は上がったんですけど、こないだの高校入試の模擬テストがひどい結果だったんですよ。」

家庭教師をつけて6ヶ月、生徒のお父さんからの相談の電話。声が沈んでいる。

「よかったですね、お父さん。模擬テストでよかったです。これが実際の入学試験だったら、とんでもなかったですよ。今でよかったです。入学試験まであと半年で、時間は十分あります。対策を立てていきましょう。」

人間万事、塞翁が馬。成績がよかったと浮かれていたら、気が緩んでこの次に下がる。成績が悪かったことを悲観せずに発奮材料にすれば、この次は上がる。

テストの結果に、上がり下がりはつきもの。はしゃぎ過ぎず、落ち込まず。気持ちの持ちようが大切。

塞翁が馬

占いの得意な翁(おきな=おじいさん)が、国境の塞(とりで)の近くに住んでいました。

ある日、その翁の馬が逃げ出して、北の地へ逃げてしまいました。周りの人々が「残念ですね」と、なぐさめにいくと、翁は「いや、このことが、福になるかもしれない」と言いました。

それから数ヶ月後。なんと、その翁が言ったとおりに、逃げた馬がもどってきました。さらに、すばらしい名馬も一緒に連れて帰ってきたのです。周りの人々が「良かったですね」と、お祝いにいくと、翁は「いや、このことが、禍(わざわ)いになるかもしれない」と言いました。

翁の家にはどんどん名馬が増え、翁の息子は乗馬が大好きになっていきました。そしてある日、翁が言ったとおりに息子が落馬して、股(もも)を骨折する重傷を負ってしまいました。周りの人々が「かわいそうなことになりましたね」と、お見舞いにいくと、翁は「いや、このことが、福となるかもしれない」と言いました。

それから1年後に、戦争が起こりました。近くの若者の10人のうち9人までが死んでしまうようなかなり悲惨な争いとなりました。ところが、息子は落馬のせいで足が悪かったため兵役に出ることはなく無事でした。やはり、翁が言ったとおりになったのでした。

故事成語

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