朝5時、作業着を着た初老の男性がゴミ袋を持って構内の掃除をしている。薄暗い中、広い構内の掃除を終えたら、会社事務所で手を洗って帰っていった。夜が明けて、出勤した職員から話を聞くと、その掃除をしていた初老の男性が社長なのだという。夜間の警備員の仕事をしていた学生時代の出来事である。
朝5時に、自分ひとり工場に来て掃除をする。結構大きな会社なのだから従業員に掃除をさせれば済むのに、誰も見ていない中、ひとりで掃除をして帰っていった。あの光景が今も鮮烈なイメージで記憶に残っている。
上に立つ者が先頭に立って動かなければ下の者は動かない。
自分が下の者にどれだけ範を示しているのか、わが身を振り返る。
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