長身の男は急に足を止め、シンスキーの上に身を乗り出すように立った。「歳はいくつだ」
またしてもぶしつけな質問だったが、WHOの事務局長であるシンスキーは、敵意を持った相手にそつなく対応するすべを心得ていた。「六十一歳」
「もしあなたがあと十九年、八十歳になるまで生きたら、一生のうちに人口が三倍に増えるのを目撃することになる。一人の生涯のうちに三倍だ。その意味するところを考えるんだな。あなたがた世界保健機関はまた予測を引き上げて、今世紀の半ばになる前に地球の人口が九十億人に達するとした。いくつもの動植物が急激に絶滅へ向かっている。天然資源は減っているのに、需要は急増している。清浄な水の入手は困難になる一方だ。生物学的評価基準のどれをとっても、人類の個体数は持続可能な値を超えている。にもかかわらず、この危機に直面していながら、全世界の保健衛生の守り手であるWHOは、糖尿病の治療だの、血液バンクの充実だの、癌との戦いだのに力を注いでいる」
男はそこでことばを切り、まっすぐシンスキーを見据えた。「世界保健機関には、この問題に真っ向から取り組む勇気がないのか。それを直接訊きたくてあなたを呼んだのだよ」
シンスキーは怒りをあらわにした。
ダンブラウンの「インフェルノ」を英文で再度読み直すのは大変なので越前敏弥の訳本を購入した。上中下巻である。日本語なら速く読める。これはいい。
場面は、WHO事務局長のシンスキーが世界を圧倒的力で支配する外交問題評議会(FCR)に呼び出されているところ。疫病を使った世界人口の削減に協力を要請されている。提案されたシンスキーは怒っている。
さて、現実世界に戻る。WHOは世界人口の削減に協力するのかどうか。金の大半はビルゲイツからもらっている。ビルゲイツは人口削減せよという。
地球人口の削減は人類の直面する差し迫った課題である。人口は削減されるべきである。だが自分は削減されたくない。正直に話して理解が得られるのか。事態は秘密裏に実行されていく。ワクチン接種で。
コメント