満月

雲ひとつ無い空。深夜11時30分、真上に満月。自然の電球が地上を照らす。

満月を電球に例えるとは、風流とはほど遠いようだ。

月をみて右側が少しいびつなので、十六日と予想を立てたのだが外れた。カレンダーで確認すると十五日の満月。しかし、あと30分で十六日なのでほぼ正解ではないか、とこじつける。

以前は赤道儀式の天体望遠鏡で月を時折り眺めていた。満月の月は天体望遠鏡ではあまり面白みが無い。平板で明る過ぎる。見るなら半月など欠けているほうが、影の辺りが立体的に見えて味わいがある。木星は縞模様と側にいくつかある衛星が面白い。土星は色鮮やかな「わっか」が絵に描いたようにくっきりと見えて引き込まれる。

空に目をやり、宇宙と自然の神秘を感じられる時間を持ちたい。果てしない空間と時間が、人の迷いや悩み、人の存在の小ささを教えてくれる。

人は小さい存在でいい。そう思うと、不思議な力が湧いてくる。

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