資質の欠落

毎日、少なくとも5分ぐらいは読んでいる山岡荘八の「徳川家康」、通読すること2回で今は3回目である。毎日少しずつ読んでいると、全27巻の小説でもいつの間にか複数回読んでいる。

今は第13巻、関白豊臣秀吉の時代である。刀目利きの本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)が徳川家康の求めに意見している。

 


 家康は、あわてて聞き返した。
「光悦よ。すると、関白は、毎日粥(かゆ)を食して過ごすのかよ」
 光悦はまた無邪気に笑った。
「それが、立正の根本かと心得まする」
「フーム」
「民よりおごって民に命令するは無理を強いるもの。無理が通れば世は乱れまする。市井の風下なればいざ知らず、選ばれて関白となるほどのお方ならば、その位の我慢がのうては叶いませぬ。万民が富むまでは節倹第一・・・・・・みなが空腹を無くしたおりに寺院を建て、更に歩をすすめて茶会もよし、花をかざして踊るもよし・・・・・・」
「わかった。わかったぞ光悦」
家康は額をおさえて手を振った。
「いやはや、手酷しいのうこなたの意見は。武士は自ら耕すぬ。自ら耕さぬものがおごりにふけっては民の負担・・・・・・家中にそう教えて、麦飯を食うて居る家康も、こなたに言わせると贅沢じゃ」
「恐れ入りました。その儀については光悦に感懐がございまする」
「なに感懐があると」
「はい、光悦がお館さまを敬慕致しまする第一の理由は、御家に参上致しましたおりの麦飯にござりまする」
「なに、わが家の麦飯が気に入ったと申すのか」
「恐れながら、味噌椀もまた底がすいて見えまする」
「手痛いことを申すのう」
「しかし、それを頂戴致すたびに、光悦はこれあるかなと存じ、胸が熱くなりまする」
 そう言うと、光悦の眼は真実うるんでくるのであった。


 

安倍首相が、桜を見る会に17台のバスで800人の後援会の人々を大挙呼び寄せて、税金で宴会を開いている。地震や洪水などの被災者があまたいる中で、支援者とともに超高級ホテルで贅沢に飲み食いしている。安倍首相は一国のトップとしての肝要な資質が完全に欠落している。国民にまともな範を示せない首相は、即刻退陣したほうがよい。

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