「あのー、すみません。お金落としましたよー。」
かねひでスーパーの店舗から出たところで呼び止められた。振り向いたら、若い男性店員が走ってきて手を差し出して渡そうとする。「ありがとう」と受け取って見てみると、一個の一円玉だった。
店員にとっても顧客の自分にとっても、お金の価値で考えるとただの一円玉である。しかし、何ともいえない気分の良さが心に広がる。そして、気分の良さがしばらく心にとどまっている。
お金は何でも買えると主張する人がときどきいるが、そうではない。たった一円玉なのに、こんなに人を気分良くさせてくれる。気分良くさせているのは誠実さである。
何を気分よく思うかという喜びの出どころは人によって違う。野に咲く一輪の花、鳥のさえずり、海のさざ波、そして、ゆいまーる。沖縄には豊かな自然とお互いに助け合うゆいまーるの精神がある。それがウチナーンチュの喜びである。
ところで、公約を破って平気な政治家がよくいるが、彼らの喜びの出どころは何なのだろう。きっとそれは、権力・財力・地位・保身。彼らは喜びの出どころを隠す。
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